帯域幅とストレージに関する考慮点

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AXIS Design Tool

 AXIS Design Toolは、必要な帯域幅およびストレージの予測に役立つツールです。

AXIS Design Toolには、大規模で複雑なシステムにおける帯域幅とストレージの計算を可能にする、高度なプロジェクト管理機能が含まれています。

ネットワークの帯域幅とストレージに必要な容量は、ビデオ監視システムを設計する際の重要な検討事項です。カメラの台数、画像の解像度、圧縮フォーマット と圧縮率、フレームレート、被写体の複雑さなど、帯域幅とストレージに影響する要素が多くあります。この章では、ストレージに関するソリューションやシス テムの設定例とともに、システムを設計するためのガイドラインについて説明します。

MPEG-4を利用した場合のストレージ容量の計算方法

ビットレート/8(1バイトは8ビット)x 3600秒= 1時間あたりのKバイト/1000 = Mバイト/時間
Mバイト/時間 x 1日あたりの稼働時間/1000 = Gバイト/日
Gバイト/日 x 保存期間 = 必要とされるストレージ容量
注:上記の計算は、ストレージ容量に影響を与える被写体の動きについて考慮していません。

Motion JPEGを利用した場合のストレージ容量の計算方法

ビットレートの概算(Kビット/秒) x フレームレート x 3600秒 = 1時間あたりKバイト/1000 = Mバイト/時間
Mバイト/時間 x 1日あたりの稼働時間/1000 = Gバイト/日
Gバイト/日 x 保存期間 = 必要とされるストレージ容量

NASとSAN

保存データ量と管理要件がダイレクト・アタッチド・ストレージの限界を超える場合、ネットワーク・アタッチド・ストレージ (NAS) またはストレージ・エリア・ネットワーク (SAS) がストレージの容量、柔軟性および復元可能性の向上を可能にします。

NASはLANに直接接続されたストレージ装置で、ネットワーク上の全クライアントに共有ストレージを提供します。NAS装置は設置や管理が容易で、低価格のストレージソリューションを提供します。ただし、ネットワーク接続が1つしかないため、受信データのスループットは限られており、高性能システムでは問題となることがあります。

冗長性のあるストレージ

SANシステムは、ストレージ装置に冗長性を構築します。ストレージシステムの冗長性は、映像またはその他のあらゆるデータを、複数のロケーションに同時に保存することを可能にします。これは、ストレージシステムの一部が読み取り不能になった場合に、映像の復元用バックアップを提供します。

IP監視システムにこの追加ストレージ層を提供する方法には、Redundant Array of Independent Disks (RAID)、データ複製、サーバークラスタリング、複数の映像送信先を含め、多数のオプションがあります。

RAID

RAIDは、オペレーティングシステムが1台の大きなハードディスクとして運用するよう、複数の標準的な既製ハードドライブを組み合わせる方法です。RAID設定は十分な冗長性を確保しながら複数のハードディスクドライブにデータを分散して、ひとつのディスクに障害が発生した場合にデータの復元を可能にします。RAIDには、実質的にまったく冗長性がないものから、ひとつのハードディスクに障害が発生した場合でもデータが失われない、完全なミラーリング (二重化) ソリューションまで、さまざまなレベルがあります。

複数の映像送信先

障害復旧を確実に行うための一般的な方法で、現場から離れたネットワークビデオのストレージが、映像を別々のロケーションにある2つの異なるサーバーへ同時に送信します。これらのサーバーにRAIDを搭載することも可能です。また、サーバーはクラスターで作動したり、遠く離れた場所からデータを複製したりすることができます。これは、監視システムが大量輸送機関や工業設備内など、危険区域や、アクセスが困難なエリアにある場合に特に便利です。

データ複製

これは、多数のネットワークオペレーティングシステムで一般的に使用されている機能です。ネットワーク内のファイルサーバーは相互にデータを複製するよう設定されており、1台のサーバーに障害が発生した際にバックアップを提供します。

 

サーバークラスタリング

一般的なサーバークラスタリングの方法では、2台のサーバーをRAIDシステムのような、同じストレージ装置で稼働させます。1台のサーバーに障害が発生すると、同様に設定されたもう1台のサーバーがその処理を引き継ぎます。これらのサーバーは同じIPアドレスを共有することもできます。これにより「フェイルオーバー」と呼ばれるプロセスが、ユーザーに対して完全に透過的に行われます。

SANは特殊目的のストレージ用高速ネットワークで、通常はファイバーを用いて1台または複数のサーバーに接続されます。ユーザーはサーバーを通してSAN上の全ストレージ装置にアクセスが可能で、ストレージは数百テラバイトに拡張できます。集中ストレージは管理業務を軽減し、複数のサーバーが存在する環境で、パフォーマンスの高い柔軟なストレージシステムの使用を実現します。ファイバーチャネル技術は、一般に1秒当たり4ギガビットのデータ転送を実現するために使用され、高レベルの冗長性を確保しながら大容量データの保存を可能にします。

サーバベースのストレージ

サーバが処理できるカメラの台数、フレームレート、画像の解像度は、サーバのCPU(中央演算装置)、ネットワークカード、RAM(Random Access Memory)に依存します。ほとんどのサーバは2~4台のハードディスクを装備し、1台のディスク容量は最大約300Gバイトとなります。小規模、また は中規模のシステムでは、ビデオ管理ソフトウェアが動作するサーバ上でビデオの録画も行います。これは、DAS(Direct Attached Storage)と呼ばれるストレージがサーバに直接接続されている形態となります。

AXIS Camera Stationの場合、1台のハードディスクに6~8台分のカメラの録画を保存できます。12~15台のカメラでは、負荷を分散するために少なくとも2台のハードディスクが必要になります。

システム設定

小規模システム (1~30台のカメラ)

小規模なシステムは通常、映像をローカルハードディスクに録画する監視アプリケーションを実行している、1台のサーバーで構成されています。映像は同じサーバーによって表示と管理が行われます。ほとんどの表示および管理はこのサーバーで行われますが、同様の目的でクライアント (ローカルまたはリモート) を接続することが可能です。

中規模システム (25~100台のカメラ)

一般的な中規模システムには、追加のストレージが接続されたサーバーが使用されます。通常このストレージは、パフォーマンスと信頼性を向上するためRAIDで構成します。映像は、通常録画サーバーからではなく、クライアントから表示および管理が行われます。

大規模な集中型システム (50~1,000台以上のカメラ)

大規模なシステムは、大容量のデータおよび帯域幅を管理するため、高いパフォーマンスと信頼性が要求されます。これを実現するためには、専用の役割を持つ複数のサーバーが必要です。マスターサーバーはシステムを制御し、どのような映像をどのストレージサーバーに保存するかを決定します。専用ストレージサーバーがあるため、負荷分散を行うことができます。このような設定では、必要に応じてストレージを追加し、システムの拡張を図ることができます。また、全サーバーを停止することなくメンテナンスを実施することが可能です。

大規模な分散型システム (25~1,000台以上のカメラ)

複数のサイトで監視を行い集中管理する必要がある場合は、分散型録画システムを使用することもできます。各サイトは、ローカルカメラからの映像の録画および保存を行います。マスターコントローラーは各サイトの録画映像の表示・管理を行います。

カメラ 解像度 ビットレートの概算(Kビット/秒) フレーム/秒 Mバイト/時間 稼動時間 Gバイト/日
No. 1 CIF 110 5 49.5 8 0.4
No. 2 CIF 250 15 112.5 8 0.9
No. 3 4CIF 600 15 270 12 3.2
3台のカメラで30日間データを保存する場合に必要な容量= 135Gバイト

 

上記の値は被写体の動きが多い場合を想定しています。被写体の変化が少ない場合は20%ほど値が減少します。被写体の動きはストレージ容量に大きく影響します。

カメラ

解像度

ビットレートの概算(Kビット/秒)

フレーム/秒

Mバイト/時間

稼動時間

Gバイト/日

No. 1

CIF

170

5

76.5

8

0.6

No. 2

CIF

400

15

180

8

1.4

No. 3

4CIF

880

15

396

12

5

3台のカメラで30日間データを保存する場合に必要な容量= 204Gバイト

 

カメラ 解像度 ビットレートの概算(Kビット/秒) フレーム/秒 Mバイト/時間 稼動時間 Gバイト/日
No. 1 CIF 13 5 234 8 1.9
No. 2 CIF 13 15 702 8 5.6
No. 3 4CIF 40 15 2160 12 26
3台のカメラで30日間データを保存する場合に必要な容量= 1002Gバイト

 

帯域幅とストレージの計算

ネットワークビデオ製品は、そのコンフィギュレーションに基づいてネットワーク帯域幅とストレージ領域を使用します。前述したように、これは以下の条件により異なります。

  • カメラの台数
  • 録画を連続で行うか、またはイベントベースで行うか
  • カメラが録画する1日当たりの時間
  • 1秒当たりのフレーム数
  • 画像の解像度
  • 映像圧縮形式: Motion JPEG、MPEG-4、H.264
  • 状況: 画像の複雑性 (例: 灰色の壁または森)、光条件および動きの量 (オフィス環境または混雑した電車状況)
  • データの保存が必要な期間

帯域幅の要件

8~10台のカメラを使用する小規模な監視システムでは、帯域幅の制限を考慮することなく、ベーシックな100メガビット (Mbit) のネットワークスイッチを使用することができます。ほとんどの企業は、既存のネットワークを使用してこのサイズの監視システムを実装することができます。

10台以上のカメラを実装する場合は、目安として以下のようにネットワークの負荷を予測することができます。

  • 高いフレームレートで高画質を提供するよう設定されたカメラは、利用可能なネットワーク帯域幅の約2~3 Mbit/s を使用します。
  • 12~15台以上のカメラを使用する場合は、ギガビット・バックボーン・スイッチの使用を考慮してください。ギガビットに対応するスイッチを使用する場合は、映像管理ソフトウェアを実行するサーバーに、ギガビット・ネットワークアダプターが取り付けられている必要があります。

帯域幅の使用量管理を可能にする技術には、スイッチを使用したネットワークでのVLANの使用、Quality of Serviceおよびイベントベースによる録画などがあります。