バスでの移動: 乗客と運転手の安全と認識を最適化

スウェーデンのマルメ市の公共交通機関、Skånetrafikenは、リアルタイムモニタリングによる公共交通機関の安全性を最適化する目的で、ネットワークカメラシステムの試験を行っていました。

まず始めに市内の2つの路線を走るバスにネットワークカメラを搭載し、試験が2022年初頭から開始されました。試験の成功を受け、現在では、マルメ市全体で1,500台のライブビデオネットワークカメラが導入され、年間延べ4,500万人のバス利用者の安全を強化しています。マルメ市は、この公約を掲げたスウェーデン国内初の都市です。

カメラのリアルタイム監視機能には、重要な意義があります。従来はアナログカメラを使用し、事件の発生後に証拠を入手していました。犯罪や反社会的行為を抑止する要因になる場合があるとはいえ、ネットワークでリモート接続されていないため、ライブ監視ができず、直ちに対応することは不可能です。

その代案として、ライブモニタリングできるゲートウェイIPネットワークに接続されたカメラと、様々な出来事への迅速な対応があります。この機能により、バスの車載カメラを監視するオペレーターは、車上、または後続のバス停で介入するよう、警備担当者に指示を出すことができます。

ネットワークカメラのライブモニタリングは、効果的な対応を可能にするだけではありません。重要なのは、カメラが従来よりもはるかに強力な抑止要因となり、犯罪や反社会的行為を未然に防止するのに役立つということです。そのため、このテクノロジーによって乗客と運転手がより安全になると同時に、バス移動の安全性に対する認識が改善される可能性もあります。

 

公共交通機関における安全の強化

国際公共交通協会 (UITP) によると、反社会的行為と乗員への暴言は、日常的に報告される脅威の上位5項目に相変わらず入っています。このデータは、同協会による脅威に関する最新の調査の一環として、世界各地の27の公共交通機関から収集したものです。

ヨーロッパの典型的な都市であるマルメでも同じような問題がありましたが、2つの路線を走る30台のバスにネットワークカメラを試験的に導入したところ、90%の乗客が「安全」または「部分的により安全」と感じていると回答しました。「どれくらい安全だと感じますか?」という質問に対する乗客の回答の平均値は10点満点中9点でした。運転手もネットワークカメラによるライブモニタリングに肯定的であり、75%の運転手が、システムを導入してから「安全」または「部分的により安全」と感じるようになったと回答しています。

リアルタイムにモニタリングを行うことで、従来よりも安全にバスを利用できるようになる可能性があるだけではありません。安全性に対する認識が改善されることで、バス利用者の増加につながる可能性もあります。特に、あまり安全ではないと見られている路線や、日没後の時間帯の利用者の増加が見込まれます。カメラでのライブモニタリングによる運転手の安全強化と認識の改善は、多くの地域で業界全体の課題となっている運転手の人材確保や離職防止に貢献するメリットと言えるでしょう。

 

リアルタイムモニタリングの実現

車両のリアルタイムモニタリング用ビデオソリューションにおいては、低遅延ストリーミングが極めて重要です。さらに、接続が不安定になりやすい環境でも、カメラネットワークがシームレスに動作する必要があります。ネットワークの可用性レベルが異なるゾーンの間を移動しなければならない場合でも、一貫して高品質なビデオデータをストリーミングすることができる堅牢な接続が必要です。

Observitは、IPカメラと無線接続を利用して車両にリモートアクセスできるサービスを提供しています。このサービスでは、リアルタイムで遅延を最小化し、データ伝送を最適化する高度なアルゴリズムを採用し、ビデオフィードの一貫性だけでなく、信頼性と適時性を確保しています。移動環境において重要な意思決定を行い、業務を効率化するには、これが最も重要です。ビデオの品質や伝送速度を著しく低下させることなく、絶えず変化するネットワーク条件に適応する能力は、優れた車載監視ソリューションの決め手となり、移動中の安全確保と業務の効率化のための貴重な資産になります。

ライブモニタリングを効果的に行うには、事象を正確に分析できるビデオ品質も必要です。このビデオ品質は、訴訟手続でビデオストリームが証拠として用いられる可能性がある場合には不可欠であるため、バスへの車載を前提として特別に設計されたネットワークカメラは、最大12メガピクセルの高解像度映像を撮影することができます。暗闇や低照度条件で鮮明なビデオを配信できることも重要です。さらに、明るく晴れた日にありがちな強い光のコントラストにも対応する必要があります。

バスにおけるモニタリング用に特別に設計された魚眼レンズ付きのドームカメラは、最大360度の視野を持つため理想的です。ドームカメラの広い画角は、必要なカメラの台数とケーブル本数の削減に加えて、設置とメンテナンスに必要なリソースを削減できるため、コストパフォーマンスの向上にも貢献します。

バス車載用のカメラは、非常に高度な耐久性も備える必要があります。移動する車両の振動に耐え続けられるだけでなく、反社会的行為の防止を目的として導入するため、起こり得る衝撃や破壊行為に耐える構造が必要になります。

 

バス事業の改善

マルメ市の話に戻ると、今では、同市内を運行する250台のバスで車載ネットワークカメラが利用されています。バスへの車載を前提に設計されたIPカメラは、リアルタイムモニタリング機能によって乗客と運転手の安全を強化するだけでなく、安全性に対する認識の改善にもつながります。

限られた台数のハードウェアを設置してリアルタイムモニタリング機能を実現できる、この費用対効果の高い投資は、バスの利用者数の増加につながる可能性があります。総所有コストを低減できるだけでなく、公共交通機関が都市における移動手段に付加価値を与える機会をもたらします。

Axisのバス用のリアルタイムモニタリングカメラの詳細については、こちらをご覧ください。

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