モジュラー型カメラで柔軟性と拡張性に優れたソリューションを実現

従来型のビデオ監視カメラは、小売店や銀行でも、旅行中の空港でも、食事に立ち寄るレストランでも、すっかり見慣れたものになりました。過去数十年の間に、日常生活のほぼあらゆる場所にセキュリティカメラが浸透しています。背景に溶け込んだように思える監視カメラですが、それでもすぐに見分けることができます。ドームカメラは、おそらく天井に、あるいは、建物の壁の高い位置に設置されていますし、交通量の多い交差点では、支柱の上に設置されたボックス型カメラが目に付きます。このような典型的なカメラの設置方法は、時代に左右されません。

とはいえ、時代は変化しています。学校、企業、病院など、あらゆる場所で、より少ないコストでより多くの成果を出し、絶え間なく進化するセキュリティの課題に適応し、既成の枠組みにとらわれない思考をすることが求められるようになりました。

 

モジュラー型カメラと従来の監視カメラの違い

監視カメラは「脳」と「目」を組み合わせたものと考えることができ、通常、これらが1つのデバイスに含まれています。それでも、私たちがカメラについて考える際、主にカメラの光学系、つまり「見えるもの」の観点から考えがちです。光学系は、たとえば、解像度、固定・バリフォーカル・魚眼など各種レンズ、垂直・水平視野といった事項に限定されますが、監視カメラには、1つまたは複数のプロセッサー、メモリー、電源、ネットワークポート、音声入出力、その他の入出力ポート、オペレーティングシステムなど、カメラの「脳」に相当する部分も存在します。

単純な言い方をすると、モジュラー型カメラとは、光学系の部分をデバイスの他の部分から切り離したものです。カメラの脳に相当するものとして、先ほど挙げた要素は、すべて「メインユニット」と呼ばれる小さなボックスに組み込まれています。目に相当するものが「センサーユニット」です。従来の監視カメラと同様、モジュラー型センサーも、さまざまな解像度やレンズタイプのものがあります。

メインユニットとセンサーは、最長98フィート (約30メートル) のケーブルで接続することができるため、他の方法では実現できない高い融通性が得られます。

 

カメラが人目に付かないようにしたい場合

モジュラー型カメラの最もよく知られており、最も以前から定着している使用法の1つが「隠しカメラ」です。「ピンホールセンサー」を使用すると、極めて独創的なカメラの配置が可能になり、肉眼ではほとんど気付かれることがありません。たとえば、扉の縦仕切りの目の高さに設置したり、電気や電話線の配線ボックスのネジの後ろに設置したり、運送用コンテナの片隅に密かに設置したりすることができます。センサー自体が小型で目立たない上に、センサーの近くにメインユニットを物理的に配置する必要がないため、非常に多様な遮蔽物の内部や背後に隠すことができます。

同様な使用法では、目立たないか、完全に隠されたカメラを必要とする「パブリックビューモニター」は、すぐ近くにあるカメラの存在を知らない人々の監視映像を撮影するのではなく、店舗の入口、セルフレジ、空港保安検査の待ち行列といった場所で、撮影されていることを人々に示します。モジュラー型ソリューションでは、TVまたはモニターの枠の中に隠されたセンサーと、背面で目立たないように行われたメインユニットへのHDMI接続により、シンプルで人目に付きにくい外観が得られます。従って、モジュラー型カメラを使用すれば、「天井や壁から離れる」という既成の枠組みにとらわれない発想によって、監視をめぐるさまざまな課題を解決できるのは明らかです。

 

狭いスペースでも問題なし

図1. ATM内部のモジュラー型カメラで、既存のロビー監視を補強

モジュラー型ユニットのもう1つの革新的な使用法は、メインユニットを保護ケースなしで使用するというものです。「ベアボーン」と呼ばれるこの形態は、モジュラー型ソリューション全体を別の何かの内部に取り込む場合に理想的です。

たとえば、ATMに複数のピンホールセンサーを設置し、1つは顧客の定常的なATM利用を監視するために利用し、もう1つは保守、点検作業の際にATMを開いた場合に利用することができます。ベアボーンメインユニットのスリムな形態は、すでにぎっしりと詰まったATMの内部に無理なくフィットします。もう1つの例として、データセンターのネットワークキャビネットがあります。シェルフまたはキャビネットのドアに、ラックの前面と背面をカバーするように1つまたは複数のモジュラー型カメラを設置することで、優れた監視と業務管理が可能になります。

 

少ない手間とコストで多くの成果 – 強力で拡張性に富むソリューション

図2. メインユニットとセンサーが分離しているため、店舗全体にモジュラー型ソリューションを展開可能

拡張性に関して言えば、モジュラー型ソリューションよりも優れた選択肢はほとんどありません。一部のメインユニットは、4つの異なるセンサーに接続することができます。重要なポイントとして、これらのセンサーはすべて同じタイプである必要はなく、互いに近接する場所に設置する必要もないため、屋内外を問わず何十台ものミニドームを天井や壁に設置する従来型の環境と同様な監視ソリューションをはるかに効率的に、低予算で実現できます。

メインユニットは、1本のネットワークケーブルで電力供給と接続の両方を行えます。標準的な16ポートのPower over Ethernet (PoE) ネットワークスイッチを使用する従来のカメラ環境の場合、監視カメラは16台に制限されますが、モジュラー型ソリューションであれば、同じ16のPoEポートで64台のカメラに電力を供給することができ、カメラの数が4倍になります。ビデオ管理ソフトウェア (VMS) のライセンスも同様です。必要なライセンスはメインユニットごとに1つであるため、カメラ64台のモジュラー型ソリューションでは、最大16のVMSライセンスしか使用しません。このような消費電力とソフトウェアライセンス費用の節約が、毎年繰り返されます。

モジュラー型ソリューションにおけるメインユニットとセンサーの分離は、ソリューションの交換やアップグレード時にも、定量化可能なメリットを生み出します。メインユニットを交換するために昇降機やはしごを使用する必要がないため、システムの寿命全体を通して時間と労力を大幅に節約することができます。

 

耐久性の高い車載モデル

図3. 耐久性に優れたコンポーネントと接続を使用するモジュラー型ソリューションは車両内部のどこにでも設置可能

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

移動環境で監視が必要な場合は、どうでしょうか? モジュラー型ソリューションは、緊急車両、スクールバスや都市バス、多数の車両の運用、配送トラック、パトカー、電車におけるニーズに対応するよう進化しています。

移動環境での監視においては、考慮すべき重要なポイントがいくつかあります。何よりもまず重要なのは、メインユニットとセンサーが「頑丈」であることです。個々のコンポーネントだけでなく、コンポーネント間の接続も忘れてはいけません。自動車業界の標準であるFAKRAコネクタによって、移動環境における一貫した信頼性の高い接続が確保されます。監視機能を使用していないときに自動車のバッテリーの電力損失を避けるため、一定の時間が経過したら安全にシャットダウンするメカニズムも必要です。これらはすべて、過酷な車載環境で運用できる堅牢なソリューションの成立に貢献しています。

 

結論

さまざまな環境におけるモジュラー型ソリューションの可能性は無限です。特にピンホールカメラの場合、センサーが小型であるため、人目に付きにくい監視を行うことができます。センサーがメインユニットから分離されているため、ATM、ネットワークキャビネット、ファストフードの小型店舗の内部など、多様な場所に設置することができます。モジュラー型ソリューションは、優れたコストパフォーマンスで従来の監視ニーズに対応できると同時に、移動する車両にも設置できる高い耐久性を備えています。

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