ビデオ分析の最適なパフォーマンスのために考慮すべき要因

Timo Sachse

さまざまな分野で人間の能力を拡張し、改善するテクノロジーとして、AIに期待が集まっています。ビデオ監視業界も例外ではありません。大量のデータを迅速に処理し、アクションをトリガーするAIベースの分析機能の利用が活発化しています。たとえば、高速道路や境界など、大規模で絶えず変化する現場を監視する保安チームをこれらの機能は支援し、関心ある被写体の識別や、措置が必要な状況のフラグ付けを行います。

理論上、これは理想的でメリットが大きいように思えますが、高品質な結果を確実に得るためには、テクノロジー導入の際に検証すべき多くの要因があります。カメラのハードウェア、映像品質、照明レベル、構成、位置、向きなどです。

 

カメラ機能はカメラの環境と位置に支えられているか?

画質の決め手はカメラの高い解像度と光感度だと言われますが、実際の画像やビデオの有用性に影響を及ぼす要因は他にもあります。たとえば、非常に高額なカメラで撮影した最高品質のビデオストリームでも、撮影場所の夜間の照明が不十分だったり、カメラの向きが変えられていたり、システム接続が切断されたりすれば、何にもなりません。

導入に先立ち、カメラの配置を慎重に検討する必要があります。ビデオ分析で期待通りのパフォーマンスを得るには、撮影現場で、遮蔽物がなく、クリアな視界が得られる位置にカメラを設置する必要があります。画像の有用性は、使用目的によっても異なる場合があります。人間の目で見て問題なさそうなビデオでも、ビデオ分析アプリケーションのパフォーマンスの観点からは最適な品質ではない場合があります。実際、人間にとって見栄えがする映像を得るために、一般に使われているノイズリダクションなどの画像処理方式の多くは、ビデオアナリティクスの使用時にはそれほど最適ではありません。

最新のカメラには、完全な暗闇でも撮影を可能にする赤外線照明が内蔵されている場合があります。光源条件が悪い場所にもカメラを設置でき、照明を追加する必要性が減る点では有利ですが、豪雨や降雪が予測される場所では反射の問題があるため、カメラに内蔵された照明やカメラに非常に近い位置からの照明には頼らないことを強く推奨します。

 

撮影場所とカメラの距離は適正か?

AIベース分析アプリケーションの最大検知距離は、判断しにくい問題です。データシートに記載されているメートル値やフィート値は、どんな場合でも真実であるとは言えません。検知距離は、画質、撮影場所の特性、気象条件、色や明るさなど被写体の性質によって、大きく左右されます。

検知する物体のスピードも影響します。正確な結果を出すには、ビデオ分析アプリケーションが十分に長い時間、被写体を「見る」必要があります。どれほどの時間が必要かは、プラットフォームの処理能力であるフレームレートによって異なります。処理能力が低いほど、長時間にわたって被写体が見えていなければ検知ができません。カメラのシャッター時間が被写体とうまく合わない場合、画像に生じるモーションブラーも、検知精度の低下につながるおそれがあります。

動きの速い物体は、カメラに近い場所を通過する場合、さらに見失いやすくなります。たとえば、カメラから遠い場所を走っている人物であれば十分に検知できるのに対して、同じスピードでカメラに近い場所を走っている人物は、瞬時に視界から消えてしまい、アラームがトリガーされないおそれがあります。

分析機能を利用した動体検知では、カメラに向かって真っ直ぐに近付いてくる被写体や、カメラから遠ざかっていく被写体も別の課題を投げかけます。動きの遅い被写体の検知は、特に困難です。撮影場所全体に広がる動きと比べて、画像の変化量が非常に小さいからです。

 

アラームと録画はどのように設定されているか?

オブジェクト解析は、所定の前提条件が満たされている場合にのみ最適なパフォーマンスで動作しますが、そうでない場合、重要な事象が見落とされるおそれがあります。すべての条件が常に満たされる確信がない場合は、保守的なアプローチを採用して、指定したオブジェクト分類だけが唯一のアラームトリガーではないよう、システムを設定することを推奨します。この場合、誤認アラームが増加しますが、重要な事象を見落とすリスクは減少します。

信頼性の高いオブジェクト分類を使用して、不要なアラームを除去する必要があることは明らかですが、録画ソリューションは、オブジェクト分類だけでなく、他の要因にも依存するように設定する必要があります。このように設定されていれば、アラームが見落とされた場合、その原因を録画から査定し、全体的な設置や構成を改善することができます。

 

ソリューションのメンテナンスは行き届いているか?

監視システムの定期的なメンテナンスを欠かすわけにはいきません。ビデオ管理ソフトウェア (VMS) インターフェースを介した映像の確認に終始するのではなく、物理的な検査を行い、遮蔽物があれば取り除くことをお勧めします。これは、標準的な録画だけの場合でも重要ですが、分析機能を使用する場合にはさらに重要です。

基本的なビデオ動体検知を行う際に、風に揺れるクモの巣など、ありがちな障害物が存在すると、誤認アラームが増加し、ストレージが必要以上に消費されます。オブジェクト解析を使用する場合、クモの巣によって一般に、検知エリア内に除外ゾーンが作られ、クモの糸によって、被写体が不明瞭になり、検知、分類される可能性が大幅に低下します。

カメラの前面ガラスや気泡に埃が付着した場合、日中であれば問題が起こる可能性は低いですが、薄暗い条件下では、埃の付いた気泡が、自動車のヘッドライトなどの光で横から照射されると予期せぬ反射が起こり、検知精度が低下するおそれがあります。

撮影場所に関連するメンテナンスも、カメラのメンテナンスと同様に重要です。撮影前、撮影後の画像を単純に比較するだけで、潜在的な問題が明らかになる場合があります。カメラを導入した日に撮影場所はどんな様子でしたか? 現在はどうなっていますか? 検知ゾーンを調整する必要はないでしょうか? カメラの視野調整が必要でしょうか? それとも、カメラを別の場所に移動すべきでしょうか?

 

一貫して最適なパフォーマンスで動作するソリューション

ソリューションを正しく導入し、定期的に評価すれば、ビデオ分析への投資によって、セキュリティに多くのメリットがもたらされます。パフォーマンスに影響するおそれのある要因は数多く存在するため、セキュリティ担当者は、ソリューションは「一度設定したら、あとは放置」という類のものではないことを肝に銘じる必要があります。企業の目標に合った最終結果と良好な投資収益率を達成するには、継続的な評価を活用するアプローチが必要です。

さらに詳しい情報が必要な場合は、ホワイトペーパー『AI in video analytics: Considerations for analytics based on machine learning and deep learning』をダウンロードしてください。

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