ブラインドスポットを低減するパノラマカメラ

あらゆる監視システムの基礎となるのがカメラです。しかし、監視エリア全体を1台のカメラで捉えきれるとは限りません。全体をくまなく監視するには、複数のカメラが必要になる場合があります。その結果、たちまち総費用が増加し、予算の制約からカメラの画質を妥協しなければならないというケースがありましたが、この問題も過去のものになろうとしています。テクノロジーが進歩し、高画質カメラ数台分の撮影範囲を1台でカバーできるようになっているからです。

パノラマカメラとは?

パノラマカメラは、簡単に言えば、標準的なカメラよりはるかに広い視野が得られるカメラです。壁面設置の場合は180度、天井設置の場合は360度の全体映像を撮影することができます。1台のカメラで広い場所を撮影範囲に収めることで、全体的な動きの監視、状況認識、人の流れの追跡、エリアマネジメントの改善が可能になります。

パノラマカメラが企業にもたらす利点とは?

従来型のカメラと比べてパノラマカメラが非常に有利な点の一つが、複数の従来型カメラと同じエリアを1台で監視できることです。撮影場所、状況ごとに複数のカメラを選び、設置する作業に長い時間を費やす必要がなく、ニーズに最適なパノラマカメラを選ぶだけなので、時間とコストを節約することができます。

パノラマカメラを使用するには、ほとんどの場合、ネットワークケーブル1本とIPアドレス1つ分の費用で充分です。ビデオ管理ソフトウェアのライセンスの数を節約することができ、アナリティクスのライセンスもほとんどの場合、1つで済みます。設置するカメラの台数が少ないため、設置費用も抑えることができます。

パノラマカメラは、ストレージコストもそれほどかかりません。必要な帯域幅と記憶容量を削減できるさまざまなテクノロジーが搭載されているカメラを選択すれば、カメラの画質を考慮することに集中でき、全体的な安全性やセキュリティの向上につながる高画質のカメラに投資することができます。

最適なパノラマカメラを探す

シングルセンサーパノラマカメラ

店舗やロビーなど、屋内の小さめのエリアに適したカメラです。店舗の天井にシングルセンサーパノラマカメラを設置すると、360度の映像を撮影することができ、セキュリティチームとカメラのオペレーターは、ブラインドスポットがまったくない状態で、店舗フロアの全体映像を見ることができます。このタイプのカメラで魚眼レンズが使われている場合も、歪み補正テクノロジーのおかげで画像に歪みがなく、非常に自然な映像が得られます。このように、広い全体映像と優れた画質が得られるため、小規模な店舗で発生した動きを捉え、先回りする形で対処することができ、エリアマネジメントが改善されます。

別の使い方として、このタイプのカメラを壁面に設置すると、180度の撮影範囲を集中的に監視することができ、企業のニーズへの非常に高い適応性があります。

マルチセンサーパノラマカメラ

パノラマカメラは、シングルセンサータイプだけではありません。マルチセンサーパノラマカメラは3つ以上のセンサーで構成され、各センサーがそれぞれ180度の水平エリアと最大90度の垂直エリアをカバーします。複数のセンサーによって得られる継ぎ目のない画像は、遠距離でも細部まで見ることができ、ほとんど歪みがなく、ブラインドスポットがありません。

人々が行き交う都市の広場、駐車場、スタジアムなどでは、広いエリア内で多くの動きが発生するため、セキュリティと安全の確保が難しくなりがちです。遠く離れた場所で事件が発生するおそれがある状況では、長距離でも優れた画質が得られるパノラマカメラがきわめて有益です。スタジアムでスポーツの試合が行われ、2つのチームのファンの興奮が高まっている状況を想像してみてください。誰かが騒動を起こした場合、容疑者の姿がカメラで捉えられ、警備員がすみやかに対処することができます。

多方向パノラマカメラ

各センサーをそれぞれ別の方向に向けて、必要な場所を最大の撮影範囲でカバーできるパノラマカメラもあります。このタイプのパノラマカメラでは4つの映像を撮影でき、それぞれ独立した視角に調整できます。各センサーは最大360度をカバーできますが、互いにオーバーラップさせ、1つのセンサーで特定の箇所をズームインすると同時に、別のセンサーでそのエリアの明確な全体映像を撮影することもできます。

たとえば、学校や大学のキャンパスでは、キャンパスに誰がいて、誰が施設に出入りしたかを警備部門とスタッフが把握できることが重要です。建物の外部の曲がり角、オープンエリア、廊下の交差点にこのタイプのカメラを配置すると最も効果的です。廊下の交差点の天井に多方向カメラを設置すると、各センサーでそれぞれ別の方向を監視することができます。それぞれの通路の明確で詳細な映像が得られ、全体の監視を最大限に強化することができ、警備上の問題が発生しつつある場合には直ちに発見することができます。

PTZ搭載多方向パノラマカメラ

高度な多方向パノラマカメラパッケージでは、PTZ (パン/チルト/ズーム) カメラを別途設置して、撮影範囲を拡大し、ズーム撮影を行うことができます。PTZカメラによってズームイン映像が得られると同時に、他のセンサーで最大360度の非常に詳細な全体映像が得られるため、あらゆる状況に対応できます。

このタイプのカメラで実現できるリアルタイムモニタリングは、市街地監視やオープンエリアの監視に最適です。カメラのオペレーターは、焦点を合わせる対象を追って、PTZカメラのセンサーをコントロールすることができます。事件が起こった場合、カメラの映像を使用して必要な処置を的確に判断できます。

セキュリティだけにとどまらないメリット

これまで紹介してきたパノラマカメラを利用すれば、最大の撮影範囲をカバーし、さまざまな角度から、さまざまな距離を見渡すことができ、ユーザーは必要な処置をスピーディに判断することができます。パノラマカメラは、今後出現するさまざまなアナリティクスやテクノロジーによって、全体的なセキュリティの確保にさらに大きく貢献すると予想されます。

パノラマカメラは、施設の全体的な状況の把握の強化だけでなく、コストの節約にもつながります。パノラマカメラでは、ライセンスやカメラの数が増え、費用が増大することがなく、関連するすべての費用が1つに収まります。

パノラマカメラは1台設置するだけですむため、さまざまなソフトウェアライセンスの費用や設置費用が発生することがありません。パノラマカメラを導入すれば、ブラインドスポットがほとんどないセキュリティシステムを構築できるため、企業とユーザーは他のことに集中することができます。

パノラマカメラについての詳細については、こちらをご覧ください: Axisパノラマカメラ