次世代の車載用カメラ

記事
2020年07月6日
当然のことながら、車載用カメラの開発において鍵となる課題は、動いている車両に取り付けるということであり、地上と地下の両方で昼夜を問わず使用されることが多いです。そして、光条件、画像の安定性、フォームファクターなどについて克服すべき基本的な問題もあります。アクシスは先日、2007年にリリースされた初の車載用機種から第5世代目となる、新しい車載用カメラ2機種を発表しました。ARTPEC-7チップの搭載により、車載をして映像と音声をキャプチャするという課題に最適となるよう機能が強化されました。車載用カメラのグローバルプロダクトマネージャーであるエリック・マーテンソン (Erik Mårtensson) 氏と、運輸・交通部門のグローバルビジネス開発ディレクターであるパトリック・アンダーソン (Patrik Anderson) 氏に、詳細を伺いました。

映像監視固有のニーズ向けにアクシスが開発した最新世代のSoC(System-on-a-Chip)、ARTPEC-7 チップの登場は、アクシスの監視カメラの製品ラインナップ全体に利点をもたらしていますが、車載用カメラにもこの利点を活かせるようになりました。車載用カメラのグローバルプロダクトマネージャーであるエリック・マーテンソン (Erik Mårtensson) 氏は、次のように説明しています。「ARTPEC-7チップは、あらゆるタイプのAxisカメラに、画像処理、分析機能、圧縮効率、ファームウェアのセキュリティにおけるさまざまな機能強化を提供します。ネットワークのエッジで分析を行う機能についてはあとで説明しますが、ARTPEC-7によって車載用カメラにもたらされる最大の進歩は、車載用カメラの重要な要件の1つである厳しい光条件下でのパフォーマンスの向上に見ることができます。」

明るい日差しから完全な暗闇まで、あらゆる光条件下に対応

人間は、暗闇から明るい場所 (またはその逆) に急に移動するときに生じる問題について認識しています。つまり、光条件の変化に対して必要な対応を人間の目は素早く調節することが可能ですが、カメラは調節に長い時間がかかり、この時間によって重要な詳細が失われることがあります。移動しない建物や構造物に設置されたカメラは、変化する光条件に長い時間をかけて適応することができる一方、車や電車は常に光条件が異なる場所を移動し続けるため、車載用カメラは急激な変化に対応する必要があります。

Erik Mårtensson
車載用カメラ グローバルプロダクトマネージャー エリック・マーテンソン (Erik Mårtensson) 氏

マーテンソン氏は、次のように語っています。「バス、路面電車、電車、救急車、配達用車両など、すべての移動車両は、数分おきに進行方向が変わり得ます。橋の下やトンネル内の移動と同様に、太陽の位置、移動する雲、霧、雨などは、すべて光条件に影響を与えます。車載用カメラの設計における主要な原則は、カメラが光の変化に対応するよう設計されていることです。これを達成するため、幅広い機能強化に加え、当社の最新カメラの1機種には初となる一体型IRも搭載され、完全な暗闇でも鮮明な画像が得られるようになりました。」

新しいAXIS P3935-LRには不可視赤外線LEDが組み込まれており、完全な暗闇の中でも鮮明な画像を提供します。夜間、照明が不十分な郊外を移動する車両や、車内の照明が乗客の快適性を損なう場合に最適です。最新カメラの赤外線LEDはより波長の長い940nmで動作するため、従来の赤外線LEDのように赤い点が見えず、運転者や乗客の安全性と快適性がさらに高まります。 Lightfinder や Forensic WDRなどの他のAxisテクノロジーを統合することで、低照度環境や、カメラが明るい陽射しに面している場合などの強い逆光下でも最適なパフォーマンスを実現します。

停止、発進、路面や線路上の凸凹に関する課題

常に変化する光への対応は、車載用カメラの1つの課題です。そしてもう1つの課題は、言うまでもなく「移動」です。移動している車両、とくに停止と発進を定期的に繰り返す車両は、車両自体に多くの振動を引き起こします。これに路面や線路上の凸凹を考慮すると、前向きに設置された車載用カメラが安定した鮮明な画像を維持するのは容易ではありません。2つの新しいカメラには、内蔵のジャイロスコープと共にElectronic 電子動体ブレ補正(EIS)サポートする一体型の加速度計が初めて搭載され、あらゆる状況で車外の滑らかな画像を提供します。さらに、高速で移動する車両に前向きに設置されたカメラでは、カメラの可変フレームレートが非常に役立ち、最大45フレーム/秒を実現します。これは、たとえば電車が線路上の障害物にぶつかった場合などに、高速で詳細をキャプチャするために重要な機能です。

エッジ分析機能の潜在能力

いかなる条件下でも画像品質を保つことで、次に、返された情報をどう処理するかを考えることができます。ここでも、ARTPEC-7の採用が分析機能に変革をもたらしました。マーテンソン氏は次のように語っています。「ARTPEC-7によって提供される主な機能強化の1つは、データセンターのサーバーではなく、ネットワークの「エッジ」、つまりカメラ自体で分析を行う機能です。これは、分析に基づく対応をより迅速に実行できるようになるだけでなく、分析アプリケーションに非常に大きな機会をもたらします。」

従来、車載用カメラから分析用のデータを転送することは複雑で、大きなコストがかかりました。これを遅延なくアラートとして車両に返すことを考えるのは不可能でした。カメラ自体での分析は、安全性、セキュリティ、運用上の利点を備えた分析に対するさまざまな可能性を生み出します。これらのアプリケーションの多くは、AXIS Camera Application Platform (ACAP)を使用して、アプリケーション開発パートナー(ADP)プログラムのメンバーによって提供されます。

Patrik Anderson
運輸・交通部門 グローバルビジネス開発ディレクター パトリック・アンダーソン (Patrik Anderson) 氏

パトリック・アンダーソン氏は、分析機能の可能性をさらに拡大し、次のように語っています。「たとえば、人数計測や乗客の年齢・性別層分析は、交通当局によるルートとサービスの最適化を可能にする貴重なビジネスインテリジェンスを提供することができます。最近で言うと、座席の利用率や社会的距離に対する準拠を測定することで、公衆衛生上のリスクを軽減するためにも使用できます。適切な分析を行うことで、2階建てバスの上部デッキを監視し、問題についてドライバーに警告したり、自動アナウンスを再生したりすることもできます。」

最新カメラの1機種に一体化されたマイクも、乱暴な言葉やストレスを感じる声に基づいてアラートを発することができ、乗客の安全性をさらに高めます。また、集計され、匿名化された分析データは、サービスの設計と最適化、一日のピーク時間とオフピーク時間に合わせたサービスの調整、効率性の向上、顧客体験の向上などにおいて、輸送オペレーターにとって非常に役立ちます。さらに、環境の観点から見ると、カメラの加速度計に基づく分析データは、ドライバーがより環境効率的でスムーズな運転を行えるようにするためのトレーニングに使用することができ、また、事故の調査にも役立ちます。

分析機能の可能性は非常に大きく、新しい車載用カメラ機種への投資を大幅に増加させるでしょう。「最終的に、車載用カメラの主な目的は、あらゆるタイプの車両で発生するセキュリティリスクを防止および軽減することです。エッジ分析を追加することで、インシデントの数を大幅に削減することができます」(アンダーソン氏)。

コンパクトなパッケージの中に大きなパワー

この2つの最新カメラには多くの新しいテクノロジーと機能が搭載されていますが、形状やサイズは変わっていません。これは重要なポイントです。車載用カメラを備える多くの車両、とくにバス、電車、路面電車は高価な投資であり、何十年にもわたる耐用年数が期待されます。一方、車載用カメラは、機能の向上に伴い、数年ごとに交換される可能性が高いと言えます。したがって、新しい機種は旧機種と同じ小さめなサイズと設置面積を備えていることが不可欠です。

新しいカメラは耐衝撃性の高いメタルケースを備えているだけでなく、コンパクトなパッケージに数多くの機能が詰め込まれています。マーテンソン氏は、最後に次のように語りました。「最新機種の外観は旧機種とほぼ同じです。それを手にとって初めて、どれほどの最新テクノロジーが組み込まれているのかを感じることができます!」

アクシスの車載用カメラに関する詳細については、こちらをご覧ください。
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