小売企業が無人店舗の価値を最大限に引き出す方法

客足が戻ってきた今でも、実店舗は様々な課題に直面しています。その一つが、消費者の期待の変化です。今日の消費者は、テクノロジーの導入、高い利便性、パーソナル化、ソーシャルディスタンスの確保が実現された店舗体験を望み、このような傾向が積み重なり、無人店舗が台頭する下地が出来上がっています。

小売業の変貌

新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の結果、人々の生活、交流、労働、移動、買い物の方法が必然的に影響を受けました。小売環境においても、テクノロジーの急速な進歩、Eコマースの躍進、オンラインで商品を購入し、実店舗で受け取るクリック&コレクトサービスの利便性の認識の広がりなどに伴い、大きな変化が起こっています。その結果、小売企業は、運営方法を変え、顧客ニーズの進化に対応して今日的な価値を保つ必要に迫られています。

2022年、引き続きソーシャルディスタンス対策が緩和されていく中で、小売業界は、物理モデルとデジタルモデルをシームレスに統合して、消費者の新たな優先事項、考え方、購買慣習にフィットしなければならないという課題に直面しています。対面式のやり取りが減り、セルフサービスの選択肢が増えているにもかかわらず、効率的で利便性の高い店舗は、まさに無人店舗のコンセプトによって実現することができます。

消費者の期待と小売体験のギャップを解消

小売企業は、テクノロジーによって実現される無人店舗のコンセプトをようやく全面的に受け入れるようになりましたが、無人店舗というアイデアは新しいものではありません。米国のAmazon GoとAisle 24、シンガポールのCheers with Visa、スウェーデンのCrazy Candy、中国のBingoBoxなど、規模の大小を問わず、多くの企業が自律型の小売り形態で大きな成功を収めています

新型コロナウイルス感染症の世界的な流行中に起こった顧客の優先事項の変化は、無人店舗が力強さを取り戻す原動力になりました。個人の安全衛生が優先される中で、消費者は、Eコマースを全面的に受け入れ、非接触型ショッピングを指向しています。

Axisが実施した「無人店舗での体験に関する消費者の選好」調査によると、アジア太平洋地域において、実店舗での買い物に気が進まなくなったと回答した人は15%、ソーシャルディスタンス規則が守られている店舗を選ぶと回答した人は31%に上ります。このような懸念の中、Eコマースの快適性が評価され、成長を遂げています。今日の消費者は、トラブルが生じない、高度なテクノロジーに支えられたショッピング体験を当然のように期待しており、この期待に応えることが極めて重要です。

そのためには、戦略を再考し、新しい消費パターンに最適なデジタルテクノロジーで物理環境を補強する戦略を採用する必要があり、その答えになり得るのが無人店舗です。テクノロジーに支えられた利便性、パーソナライズ化、最大限のソーシャルディスタンスを実現し、安全な環境で店舗体験を強化することができます。

Axisの調査によると、消費者の立場から見た無人店舗の極めて重要な要素は、ソーシャルディスタンスや衛生上の観点での安全性と、セキュリティであることが判明しています。高度なセキュリティを実現するため、入店手順の一環として、カードレス、モバイルQRコードなどのアクセスコントロール手法を導入することができます。また、インテリジェントビデオ監視とビデオアナリティクス技術を利用して、顧客が間隔を空けずに並んでいる場合に音声で警告するなど、ソーシャルディスタンス対策を自動化することができます。これらのテクノロジーを組み合わせて、店内が無人になれば照明や空調を自動的にオフにし、必要に応じて再びオンにすることができるため、オペレーターの持続可能性の目標の達成にも貢献します。

人間のスタッフは不要になるわけではなく、小売環境で引き続き一定の役割を果たします。Axisの調査では、アジア太平洋地域の回答者の40%以上が、無人店舗においても人間によるサポートや、突発的な事態への対応は必要だと回答しています。この結果は別の調査でも裏付けられており、ある種のプロセスを自動化することで従業員の業務を効率化でき、全体として生産性が向上することが判明しています。企業は、オンラインと実店舗のどちらか一方に集中するのではなく、オンラインチャネルと実店舗チャネルを統合して最高の顧客体験を実現する必要があります。

無人店舗用テクノロジーを早くから採用した企業では、全体的な複雑さや、期待との違いがハードルになっていましたが、セキュリティ、顧客のアクセス、顧客体験を緊密に統合することによって成功を実現しています。Secure Insightsの別の記事では、アクセスコントロール、ビデオ、音声テクノロジーを利用して自律型小売店舗を実現する方法について解説しています。企業はこれらのテクノロジーを利用して、顧客満足度の向上につながるベストプラクティスと業務効率を実現した、最適な環境を手に入れることができます。

自律型ショッピングへの道

新型コロナウイルス感染症の世界的な流行によって、必然的にデジタルテクノロジーの採用が加速しました。この変化は、近い将来も続くと思われます。Axisは、顧客のショッピング体験を損なうことなく、店舗運営におけるセキュリティの懸念に対処し、最高の満足度と信頼につながるインパクトの強い顧客体験を提供するには、最新のビデオ監視テクノロジーが極めて重要だと確信しています。

自律型小売店舗の利点を無視することが難しくなっている現在、世界中の企業が自律型ショッピングをビジネス目標の一部として検討する必要があります。初期費用について懸念があると思われますが、投資利益率を計算する際に、無人店舗の認知度の加速度的な高まりに伴う長期のコスト削減など、潜在的な利益に注目する必要があります。

小売業界の未来と目されている無人店舗は、すでに生活に浸透し、かつてないほど今日的な価値を証明しています。顧客の完全な理解と、無人店舗の価値を最大限に引き出し、シームレスなショッピング体験を実現する最適なテクノロジーの活用に労を惜しまない企業が最も成功する小売企業になるでしょう。