最新型のコンビニエンスストア、ガソリンスタンドの中核をなす、強化された安全、セキュリティソリューション

近い将来、電気自動車 (EV) の台数が燃料自動車を上回ることが確実視されています。EVの増加によってガソリンスタンドに生じる影響は、利用者の滞在時間が長くなることです。急速充電技術が進歩しても、給油より長い時間がかかるプロセスであるため、充電待ちの顧客向けのサービスが増えるでしょう。

ガソリンスタンドは長年にわたってコンビニエンスストアモデルを取り入れてきましたが、近年駐車場にEV充電スタンドを併設した小売店など、他の小売業態との競争も激化しています。つまりサービスの追加と改善が迫られています。コンビニエンスストア施設と並んで、食事や飲み物の選択肢の幅が広がるだけでなく、質も向上していくと予測されます。

 

自動化の進行によって生まれるセキュリティの新たな課題

顧客にとってのスピードと利便性の向上が、ポイントになると予測されます。コンサルティング企業であるBCGが発表した「ガソリンスタンドに未来はあるか?」によると、店内の利便性を高める目的で、導入されている自動化は、ガソリンスタンドにも普及する見通しです。非接触支払いやドライブスルー方式に加えて、自動レジ、ウォークイン型自動販売機、無人店舗などのテクノロジーが登場するでしょう。

ガソリンスタンドの24時間

 

自動サービスは、ガソリンスタンドのカスタマーエクスペリエンスの向上とプロセスの効率化に加えて、給油機のセキュリティ強化につながる可能性があります。多くのヨーロッパ諸国では、無人ガソリンスタンドが何年も前から安全に運用されており、料金を前払いしないと燃料を入手できない仕組みになっています。しかし、店舗の自動化が進み、人員が少なくなり、完全な無人化が実現されると、新たなセキュリティリスクが生じます。EVの充電のための滞在時間の増加と、自動化によって可能になる24時間営業によって、問題がさらに悪化します。

すでに、ガソリンスタンドは1人体制で運営されているケースが珍しくなく、車で走り去るガソリン・軽油・灯油窃盗犯、支払い詐欺、店内万引き、強盗と、さまざまな事件が発生しています。英国では、報道によると、年間200万ポンド相当の燃料が窃盗されていると見られています。一方、米国では、ガソリンスタンドにおける暴力犯罪の発生率が酒場やナイトクラブでの発生率より高いことがFBIの統計から明らかになっています。

自動化モデルに移行するのであれば、セキュリティも進化させ、安全な環境だという安心感を消費者に与えなければなりません。例えば人気のない夜の時間帯は危険だと顧客は認識しています。既存のセキュリティ、安全システムの改善は、カスタマーエクスペリエンスの必須の要件です。

カメラシステムはすでに、店舗やガソリンスタンドのセキュリティと安全対策上、重要な役割を果たしています。これらの施設で自動化のレベルを上げる場合、既存のシステムを土台に、音声、アクセスコントロール、分析といった機能を追加することで、システムをさらに発達させ、新たな課題に対処することができます。

 

既存のカメラシステムの機能を拡張

カメラの撮影範囲を完全なものにすることが基本であり、綿密なセキュリティ分析によって、必要な画角を確実に監視できるようにする必要があります。無人の環境では、純粋なフォレンジック解析のためにテクノロジーを利用するのではなく、現時点で発生する重大な状況に、テクノロジーによってリアルタイムで対処できなければならないため、既存のカメラシステムを音声機能と映像分析で強化する必要があります。

  • パノラマ技術により、PTZ (パン/チルト/ズーム) カメラだけに頼るよりも、広い画角を捉えることができます。
  • 十分に状況を把握し、人物や物体を識別するには、高品質の解像度が必要です。フルHDまたは4Kへの移行が標準になっていますが、十分なfps (1秒当たりのフレーム数) レートと組み合わせる必要があります。車での逃走を防止するための車両ナンバープレート認識などの機能で必要な精度を考えると、最低でも25 fps以上が必要です。
  • 低照度感度: 日没後の時間帯は犯罪が起こりやすくなるため、低照度や可変光の条件下でのカメラの監視能力がより重要になります。低照度感度に加えて、夜間の車のヘッドライト等による極端な明暗差を考慮しても、ワイドダイナミックレンジ技術が必要と考えられます。この技術によって、最適な露出が確保され、視覚的ノイズやデータのゆがみが軽減され、人物や物体を正確に識別することができます。
  • 複数のガソリンスタンドのリモート監視を行うと、ライブ表示によってセキュリティが強化されるとともに、スタッフの業務効率が向上します。セルフレジにおけるスキャン逃れや、顧客がいない状態での現金取り出しを発見する目的で導入できるビデオアナリティクスを使用する監視によって、コントロールを強化することができます。リモート監視を行う場合、QRコード、クレジットカード、IDを提示して夜間に入店しようとする顧客のアクセス検証をコントロールすることもできます。
  • セキュリティ上の問題の発生の抑止を目的とするネットワークオーディオシステムも、監視センターから管理し、警告をアナウンスすることができます。自動化店舗における音声、犯罪の検知も、顧客の安全を目的とした転倒の検知とともに、リモートから監視することができます。
  • スピーカーを通じて、顧客を支援することができます。顧客は、給油機や洗車場などに設置されたインターコムを通じて、支援を求めることができます。有人のガソリンスタンドでも、双方向コミュニケーションによってリモート支援を行うことで、セキュリティを強化することができます。また、レジに設置された非常用ボタンを使用して、サポートが必要と思われる場合にアラートを送信することができます。

 

カスタマーエクスペリエンスの最適化 – 利便性が鍵

安全とセキュリティを強化するテクノロジーを利用して、顧客の店舗利用をよりスピーディに、簡単にすることもできます。入退店時の挨拶などの音声アナウンスは、顧客が店に入り、必要なものを手にしたら、精算のため商品をスキャンしたりレジに並んだりする必要もなく退出するだけという、完全な自律型の小売ソリューションに追加される新しい機能になるでしょう。その間、天井に設置されたカメラと独自のAI、マシンビジョンソフトウェアによって、生体認証データを使用せずに、それぞれの顧客と手にした商品が正確に関連付けられます。

EVや水素燃料自動車 (LPG、CNG) の増加と、コンビニエンス小売業態との競合により、ガソリンスタンドが変わろうとしています。自動化の推進は、ガソリンスタンドが時流に乗り遅れないために有効ですが、自動化技術とともに、強化されたセキュリティ、安全システムを併用する必要があります。未来のガソリンスタンドにおける良好なカスタマーエクスペリエンスを実現する際、カメラとネットワークオーディオソリューションは中心的な役割を担います。

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