市民の安全を守るスマートシティエコシステムの構築

公安当局や救急サービスは、住民と来訪者を保護する責務を負います。これは、単に犯罪に取り組み市民の安全を守るだけでなく、緊急事態にすばやく対応できるテクノロジーとプロセスを導入することを意味します。

予算上の制約がある公共部門において、リソースを最適化すると同時に市民の安全を強化するには、拡張性の高い革新的なテクノロジーソリューションが極めて重要であることが実証されています。ネットワークビデオ、ネットワークオーディオソリューションの導入は、市民の安全の確保、緊急事態への対応、犯罪捜査を効率的に行えるスマートシティエコシステムの構築の鍵になります。

 

市民の日常的な安全の向上

公安当局と都市計画担当者は、すべての人にとって安全な都市を作る目的で、ネットワークカメラを利用して有用なデータを収集しています。人、車両、物体が絶えず行き交う複雑な環境を監視するカメラが多数あるため、都市生活に関する膨大な量のデータが日々生成されています。さまざまなダッシュボードを通じてデータを解析することで重要な知見が得られ、優先順位、リソース、予算も含めて、公安計画に関する的確で迅速な意思決定が可能になります。

ネットワークカメラは、長い年月に渡り、犯罪抑止に利用されてきました。「デジタルな目撃者」としてのカメラの存在は、それだけで犯行を思いとどまらせる効果があります。また、ネットワークオーディオも単独で、またはビデオと組み合わせることによって、犯罪を抑止する強力なツールになります。カメラを起点として、侵入者への警告用の音声メッセージを自動再生したり、オペレーターにアラートを送信して警告を出したりすることができます。多くの場合、これで犯行を未然に防ぐことができ、警備員が現場に急行するなどの余計な防犯対策が不要になるため、リソースを最適化しながら都市の安全性を高めることができます。

今日、インテリジェントなビデオ監視ソリューションは、密集状態の検知、人数計測、ソーシャルディスタンス計測の他、安全性の向上につながる都市計画上の知見の収集にも利用されます。従来の群衆管理では、混雑した場所の人数計測や状況の監視を目的としてビデオが利用されていましたが、インテリジェントでオープンな監視ソリューションを画像解析と組み合わせると、群衆管理を新たなレベルに引き上げることができます。たとえば、サッカースタジアムから試合後に退出するサポーターの様子をカメラで撮影すれば、画像解析を利用して歩行者の流れを監視し、混雑度を予測し、警備部門が効率的に経路を指示できるようにするとともに、代替案が必要な場合にはフラグを立てることができます。

 

緊急事態への備え

緊急事態においては、一刻の猶予も許されません。救急サービスと警察が動ける速さは、結局、情報を提供するシステムの速さで決まります。効果的に対応するには、現場に到着するまでの間に状況や潜在的な脅威を詳しく把握しておく必要があります。

ビデオとオーディオソリューションの統合によって状況を認識できるため、オペレーターが警察や救急サービスと密に連携しながら事件や緊急事態をリアルタイムで確認し、追跡し、対処することで、効率良く市民の安全を確保することができます。たとえば、火災の通報があった場合、オペレーターが現場のカメラにアクセスして、火元に関する詳しい情報、火の回りの速さ、負傷者の有無などを確認することができます。救急サービスが現場に到着する前にこの知見を共有することで、到着した時点で直ちに状況に対処し、救護を必要としている人を助け出すことができます。

ネットワークオーディオソリューションは、市民に事件の発生を知らせ、危険区域からの避難を指示する場合にも重要な役割を果たします。

オープンテクノロジーに基づく製品を使用すると、システムどうしの接続が可能になり、官民を問わず、貴重な情報を組織間で共有することができます。たとえば、学校から火災の通報があった場合、オペレーターが同校の監視システムにアクセスして全体的な状況を把握できることが極めて重要です。

 

犯罪捜査のサポートと迅速化

警察が事件を解決し、裁判所が容疑者に有罪判決を下すには、ビデオと音声による証拠が決定的に重要です。法廷で通用する鮮明なビデオ画像が必要になるため、非常に厳しい照明条件下や気象条件下でも高品質な映像を撮影できるカメラが要求されます。犯罪行為を検知してその場所にズームインするPTZカメラ、犯人を逮捕した警官が見聞きしたことがそのまま証拠になる装着式カメラなど、証拠を確保できる多様なカメラとIoTソリューションを都市のエコシステムに導入することができます。建設工事現場や都市で行われるイベントの監視には、臨時設置用監視システムも有益です。事件が発生した場合に証拠として使える映像を入手することができます。

ネットワークビデオ、ネットワークオーディオソリューションは、フォレンジック検索でも中心的な役割を果たします。どの都市でも、ビデオ監視システムの規模の大きさはセキュリティオペレーターが抱える課題の一つであり、必要な情報や証拠を発見するのが困難になりがちです。エッジ側とサーバー側の(検知・分類・検索のための深層学習手法などの)画像解析の組み合わせを利用した革新的なカメラソリューションであれば、監視員が事件の検出や容疑者の発見をすばやく行うことができます。

メタデータでは基本的に、各ビデオフレームに含まれる物体や出来事に注目し、フレームにデジタルな意味付けを行います。つまり、手動で処理しなければならない生のビデオ映像だけを利用するのではなく、メタデータを併用することで、撮影された場面にインテリジェンスを付加します。メタデータには、位置、時刻、色、大きさ、形状、座標、軌道、速度、場面内での存続時間、移動方向などがあります。最新のスマートサーチ機能では、深層学習の対象や色の分類もサポートされます。検索フィルターを利用して、録画映像の中から対象とする人物、物体、車両をすばやく探し出すことができ、数時間分の映像をわずか数秒で確認できるため、捜査がスピードアップします。

警察当局がビデオ監視テクノロジーを利用して、時間の経過に伴う行動パターンの推移を調べることもできます。総合的なビデオインテリジェンスソフトウェアにより、交通の量とパターン、混雑率の統計、滞在時間などのデータを集計し、グラフ、ヒートマップ、図表などの使いやすいダッシュボードで表示することができます。この統計的傾向データを利用して、どの状態を正常と見なすかの基準を定め、異常の発生を知らせるリアルタイムアラートを設定できます。たとえば、麻薬取引の疑いがある場所では、出入りする人々を監視システムでマッピングし、行動パターンを解明します。これらのデータパターンを把握することにより、正しい場所に正しいタイミングで警官が踏み込み、麻薬の売人を現行犯逮捕するのに必要な知見が得られます。

 

効率的な取り組みで市民を保護

どんな気象条件や照明条件にも耐えるインテリジェントなネットワークビデオとネットワークオーディオの組み合わせは、公共の安全を新たなレベルに引き上げます。このテクノロジーを利用することによって、社会秩序を確保して犯罪に取り組むだけでなく、より積極的で効率的な方法で市民の安全を守ることができます。

スマートシティエコシステムを構築するオープンで拡張性に優れたソリューションに投資することで、都市のすべての関係機関が効果的に連携して、市民の安全性を高めることができます。重要な点として、オープンソリューションを採用することで、投資するテクノロジーと今後のスマートシティ向けイノベーションの互換性が確実に保証され、今日だけでなく、明日の公共の安全も強化されます。

革新的なテクノロジーを利用して効率的に市民の安全を守る方法の詳細については、こちらをご覧ください。

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