小売店でネットワークオーディオを利用して店舗運営をレベルアップする方法

買い物中に、宣伝、呼び出し、閉店時刻のお知らせが聞こえてくるのは、日常の風景です。店に設置されたスピーカーは何十年も前から活躍していますが、ネットワークオーディオはどうでしょうか? 従来型のスピーカーシステムの代わりにネットワークオーディオを使用すると、店舗にどんなメリットが生まれるでしょうか? さらに、音声をビデオに接続すると何が起こるのでしょうか?

店舗における音声とビデオのスマートな使い方はいくつもありますが、大まかには、マーケティング戦略との連携、スムーズな店舗運営、安全とセキュリティ慣行の支援、という3つの分野で大きな効果を発揮し、音声は小売店舗の強い味方になります。

 

1. スタッフと買い物客の安全を適切に確保

セキュリティは、顧客体験の重要な要素の一つです。店内のどこでも、従業員とお客様が安心できるようにする必要があるからです。店舗の安全性について考察するとき、犯罪目的の行動に重点が置かれる傾向がありますが、保健衛生上の懸念もまだ残っていることを忘れてはいけません。規制の緩和後も、店内の混雑を警戒しているお客様やスタッフはいます。たとえば、2021年6月、PwCは全世界の消費者を対象に意識調査を行い、35%の消費者が、実店舗で買い物をするときは人数制限など徹底した安全対策が行われていることが重要だと考えていることが分かりました。

音声とビデオを組み合わせて、必要な安全対策がとられていることをお客様に知らせ、安心感を与えることができます。店内の人数が多くなりすぎないよう、顧客占有率を管理することができ、あらかじめ決められた最大人数に達すると、入店しようとするお客様は、しばらく待つよう、音声メッセージで指示されます。

音声ソリューションとビデオ監視の組み合わせは、たとえば、店舗周辺を監視する場合にも有効です。周辺をうろつく人や、営業時間後に店の前に集まっている人がいる場合、カメラ分析を通じて保安チームにアラートを送信すると同時に、その場を立ち去るよう指示するメッセージを再生することができます。監視の行き届かない施設で、事前に録音したメッセージを再生することもできます。たとえば、スタッフが誤って出口を塞ぐ形でパレットを放置している場合、音声メッセージを利用して、パレットを移動するようスタッフに指示し、出口をいつでも使える状態に保つことができます。

このような対策によって、不審な行動に対処できるようになり、最終的に事故や事件の発生件数が抑えられ、ダウンタイムが短縮され、施設で必要な保安要員の人数が減り、時間とコストが節約されます。

ブラジルの小売店チェーンBemolは、商品の窃盗に対処する必要がありました。従来使用していたカメラとコントロールシステムの機能不足が判明したため、同社は、一連の施設に新しい監視システムを導入しました。このシステムにより、侵入の発生時に保安チームにアラートが送信され、事件発生後のデジタル調査で高画質の映像を利用できます。非常によくできたシステムですが、同社は、音声スピーカーを追加し、機能をレベルアップすることにしました。その結果、保安チームと不審人物の間で交わされるコミュニケーションが改善され、盗難や破壊行為の減少につながっています。

 

2. シュリンケージの最小化と利益の増加

小売企業においては、買い物客とスタッフの安全確保だけでなく、窃盗や「シュリンケージ」、すなわち、万引きや中抜きに伴う在庫ロスのリスクを減らすことも重要です。万引きによる損失は、莫大です。報道によると、ヨーロッパでは、小売業界がシュリンケージにより、年間約490億ユーロの損失を被っています。音声を利用したソリューションでは、ビデオカメラで不審な行動が検知されると、アナウンスの再生とアラートの送信によって、窃盗が抑止されます。たとえば、高級品売り場で徘徊する人物を発見した場合、「すぐに店員が応対に伺います」というメッセージを再生して、万引き行為を思いとどまらせることができます。

ビデオ監視と音声の組み合わせは、非常に効果的です。米国の大手家具チェーンRC Willeyでは、在庫を追跡し、帳簿との不一致を発見する目的で店舗と倉庫にカメラを導入したところ、シュリンケージが減少しました。同社は、利益をさらに増やす取り組みとして、セキュリティソリューションに音声スピーカーを追加し、カメラで検知された侵入者や不審者に向けて録音済みのメッセージを再生しています。その結果、同社のラスベガス物流センターでは、犯罪が多発する地域にも関わらず、盗難や破壊行為によって発生していた年間4~5万ドルの損害がゼロになりました。

 

3. 店舗業績とカスタマーエクスペリエンスの改善

同じ店舗を繰り返し利用したくなるような感情は、店舗側が買い物客にどれほど行き届いた配慮をしているかによって決まります。小売企業が、顧客ニーズを把握するための時間と機会を得ることができれば、購入に至る可能性が高まります。

ネットワークオーディオソリューションを利用して、店内のさまざまなゾーンに適した音量と音質でBGMを流し、お客様がゆったりと商品を見て回りたくなるような、落ち着いた、親しみやすい雰囲気を演出することができます。スタッフは、カメラ分析によるアラートを受信し、サポートの必要なお客様に応対できます。同時に、お客様には、店員がそちらに向かっていることをメッセージで知らせることができます。

信頼性と品質の高い音声を通じて、関連するプロモーション情報や最新情報を提供し、お客様の購入判断を助けたり、バーゲン情報や割引価格を伝えることができます。買い物客が特定の売場に立ち寄った時点で、こうしたメッセージを自動的に再生することもできます。

お客様が購入する商品を選び終わっても、購入までの流れの最後の部分が最適化されていなければ、購入しない可能性があります。特に、時間に追われている場合、長い行列ができていて時間がかかりそうだと嫌気が差すものです。このような場合、人数計測技術と音声を併用して、レジの応援に回るようスタッフに指示を出し、待ち行列を短くすることができます。並んでいる買い物客には、レジが増えることを知らせるメッセージや、別途設置されているセルフレジの利用を勧めるメッセージを流すことができます。このような用途は、運用と維持が容易な統合型の音声システムで対応可能であり、時間とコスト・リソースの節約につながります。

スウェーデン初の無人スイーツ店、Crazy Candyは、ロックダウン規制によって業績が悪化したため、営業時間を延長し、スタッフの数と人件費を削減しつつ、お客様の安全を確保する必要に迫られていました。同社は、お客様の入店状況や店内での動きをモニターすると同時に、ネットワークオーディオを利用して適切な雰囲気作りを行い、警告や各種メッセージを再生できるソリューションを導入して、店舗の営業時間を安全に延長しながら、顧客体験を改善し、売上を増やすことに成功しています。

 

ネットワークオーディオシステムの多用途性

Axisネットワークオーディオソリューションは、セキュリティ上の通告、安全に関する注意喚起、営業活動、販売促進に利用できる多目的システムを実現します。このシステムを利用して、BGMを再生することもできます。つまり、セキュリティ上の通告、公衆伝達システム、日常的な業務アナウンスを1つのシステムで管理することができます。

小売企業は、顧客と市場のニーズの変化に適応していく必要があります。その過程で、ネットワークオーディオを利用して機能を拡張し、セキュリティ対策を改善し、店内での顧客体験を強化することができるテクノロジーの存在は重要です。標準のネットワークに接続できる、オープンスタンダードに基づくシステムを導入することで、各種システムの統合が容易になり、小売企業に必要な柔軟性と拡張性がもたらされます。

今後、顧客のニーズに合わせた店舗レイアウトや施設の複雑化に伴い、音声の応用分野は増える一方と予測されます。適切な音声ソリューションへの投資は、現在だけでなく、今後もさまざまなメリットを小売企業にもたらします。

Axisの小売業向けネットワークオーディオソリューションの詳細については、こちらをご覧ください。

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