音声ソリューションがよりスマートで安全な都市の実現に貢献できる4つの方法

スマートシティの安全とセキュリティに関する考察では、多くの場合、視覚に重点が置かれます。これはもっともだと言えます。カメラは、あらゆる有効なセキュリティシステムにおいて、きわめて重要であり、技術の進歩とともに、かつてないほど改良されています。

ただし、音声の価値を見落としてはなりません。音声機能は、カメラを強力に補完し、都市で利用されるカメラやその他のIoTセンサーの代用になる場合もあります。実際、ある種の問題については、視覚センサーだけでは実行できない対応を、音声技術で実行することができます。

最新のコネクテッドな音声システムを選択すると、重要なコミュニケーションを適切な場所、適切なタイミングで、市民の安全確保のために必要な音声品質で、確実に行うことができます。新開発の音声技術も、スマートシティにおける市民のウェルビーイング(福利)に直接悪影響を及ぼす問題に柔軟に対処するのに役立ちます。

ここでは、よりスマートで安全な都市の実現に音声ソリューションが貢献する主な4つのシナリオをご紹介します。

 

1.緊急通報

毎年、世界中の多くの都市が、自然災害や異常気象などの緊急事態に見舞われています。このような状況では、できるだけ早く市民に通報し、人身の安全を守れるよう、指示を出すことが重要です。ネットワークスピーカーを使用すると、特定の地区の人々に迅速かつ効果的に通報を行えます。

都市の緊急事態に備えて、音声アナウンスメントシステムを導入する場合が少なくありません。何かが起こったとき、信頼性の高いシステムが正常に稼働していることはきわめて重要です。分析機能とスピーカーを搭載した高品質なネットワークカメラやその他のセンサーを使用して緊急事態を検知し、警告を発することで、人命が救われます。

アラートがトリガーされるか、オペレーターが警告を受信した時点で事前に録音したメッセージを警報として再生するようにシステムを設定しておくと、人々は、できる限り余裕を持って行動を起こすことができます。これらのメッセージによって、避難の指示、交通事故に関する指示、迷子のお知らせ、異常気象に関する警告などを行うことができます。

こうしたソリューションは、世界中で採用されています。その一例が、チリのコンコン市です。海岸線に沿って地震と津波が多発する脅威にさらされているため、安全対策において、ネットワーク音声ソリューションが重要な要素となっています。このソリューションは、コンコン市当局が迅速に、効率よく住民の緊急避難を誘導する上で役立っています。

メキシコの諸都市も、歴史的に数々の大地震に見舞われてきた太平洋断層地帯上の都市を中心に、同じ課題に直面しています。メキシコシティでは、1万台以上のAXISネットワークスピーカーで構成される同様のシステムを導入し、大地震の発生時には30秒以内に録音済みの避難指示を出しています。このテクノロジーによって間違いなく人命が救われてきましたし、今後もそうであることに疑問の余地はありません。この記事で再三繰り返すことになりますが、このソリューションの詳細については、このページ末尾のリンク「スマートシティ向け音声ソリューション」ebook(英語)をご覧ください。

 

2.非緊急時メッセージ

日常的な利用が多いのは、緊急時以外のメッセージングソリューションでしょう。移動に関するガイダンス、安全な行動に関するガイドライン、旅行者向けイベントの情報、単にBGMを流す、などの利用法があります。ソリューションの機能を拡張して、駐車違反に対応することもできます。駐車禁止区域に車両が駐車している場合、スピーカーで警告を発することができます。これにより、うっかりによる駐車違反を防止でき、警察の取り締まりの負担を軽減できるというメリットもあります。

もうひとつの例として、アルゼンチンのビセンテロペス地区では、市民向けコミュニケーションを容易に行えるネットワーク音声システムを導入しています。同地区のメインストリートである海岸通りに設置されたこのシステムは、天気予報、紫外線警報に加えて、最近では、ソーシャルディスタンスの徹底やマスクの着用など、Covid-19関連のメッセージを流しています。この音声ソリューションは、より快適な屋外環境を訪問者に提供するとともに、人々の安全確保に貢献しています。このソリューションの詳細については、このページ末尾のリンク「スマートシティ向け音声ソリューション」ebook(英語)をご覧ください。

上記の説明はすべてを網羅しているわけではなく、可能性は、ほぼ無限に存在します。この種のシステムが備える柔軟性のおかげで、ライブ放送、録音済み、定時、その他など、ニーズに応じてメッセージの形式を変更することができます。これらのスピーカーを通じて、より緊急度が高い環境に設置されている温度センサーや圧力センサーといったIoTセンサーの情報を伝達することもできますし、変則的な事態や状況の進展について、当局に分かりやすい形で情報を伝達することもできます。いずれの場合も、スピーカーが解決策になります。

 

3.犯罪の防止と抑止

限られたリソースを有効活用して都市の安全を確保することは、世界中の都市に共通する課題です。多くの都市が監視システムを使用してモニタリングを行い、警察のリソースをできる限り効率よく使うように努めています。ビデオを利用すると、建物や立ち入り規制区域への侵入などの犯罪行為を検知できますが、多くの場合、盗難や破壊行為の発生時に警察官や守衛が現場に到着しているわけではありません。

音声ソリューションとビデオ監視を組み合わせて導入すると、自動音声による警告をカメラを通じて侵入者に発したり、オペレーターが音声システムを通じて侵入者に直接、警告することができます。このような警告で犯罪が抑止される場合が多く、それ以上の警備対策は不要です。

イスラエルのテルアビブには、このタイプのソリューションの典型例があります。同市では、屋外拡声器を含むコネクテッド音声ソリューションなど、一連の革新的なシステムを採用しています。システムの用途は多岐にわたり、その一例が、前述のような警告による犯罪の抑止です。同市内には、麻薬密売人たちが活動する区域があり、このタイプの音声ソリューションを通じて、音声での警告で犯罪活動を阻止しています。市当局の実感としては、これらのテクノロジーは都市をより安全にする上で大きく貢献しています。この事例の詳細についても、「スマートシティ向け音声ソリューション」ebook(英語)をご覧ください。

 

4.音声検知と騒音公害

これまで説明した3つのソリューションは「音声出力」の部分を中心とするものでしたが、最後の1つは、どちらかと言えば「音声入力」である点が明白に異なります。都市で発生するセキュリティ関連の事件の多くは、攻撃的な行動と大声、銃声、ガラスの割れる音など、何らかの物音から始まります。最新のソリューションは、あらかじめ設定された音声を自動的に検知、認識し、事件のおそれや、事件がまさに発生した時点でアラートを送信することができます。

監視カメラと音声検知センサーの組み合わせは、公園、広場などの公共スペース用のセキュリティシステムに高い付加価値をもたらします。状況を検知し、確認した上で、すばやく適切な措置を講じて大事に至らないようにするには、音声とビデオの組み合わせが強力な解決策になります。たとえば、公園で大声が響いた場合、システムがその声を検知すると、オペレーターが状況を確認できるようネットワークカメラが起動し、子供たちが遊んでいるだけなのか、路上強盗が発生したのかを確認することができます。路上強盗の場合、警備員を急行させるか、犯罪の抑止についての説明で示したように、オペレーターが生音声で現場に警告を発することができます。

音声検知ソリューションは、スマートシティで過小評価されることが多い騒音公害への対処にも有効です。ヨーロッパだけでも160万年以上に相当する健康寿命が1年間に失われていることを考えると、この問題を適切にモニタリングする必要性は、いくら強調しても強調しすぎることはありません。強力な音声検知ソリューションを使用して、スマートシティの個々の場所の騒音レベルを監視するだけでなく、騒音源の追跡と分析を行うことができます。この情報を収集して、交通量の多い交差点の標識や信号を最適化して交通の流れを分散させるなど、騒音を減らすためのプランを公式化することができます。

 

映像セキュリティを補完する音声

現代の都市の住みやすさを形作る重要な側面として、市民の安全とセキュリティに注目が集まっています。現在、コネクテッドテクノロジーによる都市の改善を検討する市当局が増えていますが、各種のセンサーとデバイスの組み合わせには大きなのポテンシャルがあり、音声が中心的な役割を果たす可能性があります。音声ソリューションによる問題解決は、信じられないほどの柔軟性を備え、広範囲に及ぶシナリオで有効性が実証されています。今後、スマートシティの中心になるのがこの種のソリューションであることは明らかです。

スマートシティ向けネットワーク音声ソリューションの詳細については、下記のリンクからダウンロードいただけるAxisの「スマートシティ向け音声ソリューション」ebook(英語)をご覧ください。

 

スマートシティ向け音声ソリューション(英語)