監視テクノロジーはピースをつなぐ

犯行において完全犯罪はありえるのか。あなたなら、どこから、どうやって計画を立てるでしょうか。たとえば映画を参考にすると、あらゆるリスクを計算したうえで、そのリスクを潰すために時間をかけて犯行計画を練ったり、調査を行ったりしています。そして、役割が分担されると、それぞれが協力しあって、計画をどう実行するかを熟考します。不測の事態に備えてプランB、プランCを用意して、想定外の出来事を想定内に変えるよう入念に準備もします。そして犯行後は、決して気づかれることのないよう犯行の足跡を隠し、当局からの追跡を逃れます。

さて、現実の世界では、警察当局の資質が疑問視されたり、公的イメージが失墜することを防ぐためにも、すべての犯罪者が法の裁きを受けることが重要です。どんなに完璧な計画にも必ず欠陥があります。身元、場所、犯行計画などを明かす、ほんの些細な失敗が、事件の解決につながります。テクノロジーは、視覚的、聴覚的、デジタル的な証拠を効果的に集めますので、事件に関する知見を広げたり、立件までをサポートする側面があります。スマートシティにおけるネットワーク監視は、事件の目撃者がすぐには思い出せないような手がかりや情報を記録し、明らかにすることに役立つのです。

 

犯行の先を行く

犯罪はいつもで起こりえます。事件が発生する前に、適切なテクノロジーを適切な場所に導入することが重要です。犯罪者は、犯行の録画手段だけでなく、犯行を抑止したり、阻止する手段といった全般的な知識があります。しかしその一方で、犯行時の証拠をつなぎ合わせる場面では、警察当局が優位です。この過程においては、手の込んだ犯罪の場合は特に、様々な情報源からの情報が必要です。都市間、さらには国家間にまたがる犯罪の全体像を把握するには、市当局の枠を超えた、官民の協力が役立つ場合があります。

 

事件解決までのコラボレーション

事件解決までのプロセスで、ここが一番の醍醐味ではないでしょうか。捜査官が複数の情報源から証拠や証言を集め、事件の全貌を把握した上で、最終的に犯罪者を追い詰めます。現実はそれほどドラマチックではありませんが、同じようなアプローチで具体的な成果を上げた事例は多数あります。例えば、暴力犯罪が多発していたデトロイト市では、市当局が解決に乗り出しました。新しいアプローチが必要だと判断した市当局は、事件のデータを分析して、同市で起こる暴力犯罪の約4分の1が、ガソリンスタンドから半径150 m以内の場所で、午後10時以降に発生していることを把握しました。この知見をもとに、ガソリンスタンドとデトロイト警察の協力によるプロジェクト・グリーンライトを発足させた結果、ガソリンスタンドで事件が発生した場合には、警察当局が直ちに現場の映像にアクセスすることができるようになり、同市の暴力犯罪は50%減少しました。

ロンドンでは、2016年、メイフェア地区の宝石店から420万ポンド相当のダイヤモンドが盗まれる事件が発生しました。偽の宝石鑑定士が本物の宝石をガラス玉にすり替えるという手口です。犯人グループは、指名手配の前にパリに逃亡していました。あやうく処罰を免れるところでしたが、ロンドン警察特捜部 (フライング・スクワッド) が捜査を開始し、監視カメラの映像を徹底的に活用しました。その結果、犯人グループのロンドンでの足取りが再追跡され、事件の全貌が明らかになりました。最終的に、事件から4年後に2人の犯人が裁判にかけられましたが、事件の解明に監視テクノロジーが貢献した好例です。

 

データサイロの解消

これらふたつの事例はいずれも、組織間の協力なしには実現しませんでした。都市には、データサイロが必ずあります。捜査の段階において事件の全容を把握するためには、協力関係を通じてこのデータサイロを解消することが不可欠です。そのために必要なものは、正しいマインドセットと正しいリソースの2つです。それぞれ別の情報源から入手した視覚データと聴覚データを突き合わせ、動機、結果、時系列などの要因に照らし合わせて検証する必要があります。例えば、市内のある地域の会社で事件が発生し、犯人が現場から車で別の地域に逃走した場合、事件が発生した場所と逃走経路の監視カメラで撮影された映像が付加価値をもたらします。道路上の監視カメラに搭載されたナンバープレート認識 (LPR) テクノロジーを利用して容疑者を割り出し、車両を追跡して、最終目的地を突き止めることができます。

 

事実は小説より奇なり 

映画と同じく、現実の犯罪者も、巨額の利益を得るために膨大な時間とリソースを費やします。危険が大きいほど見返りは大きく、これが完全犯罪の実行と逃亡に創造性を発揮する動機になっています。犯罪を理解し、撲滅するための創造的で協力的なアプローチができるかは、警察当局にかかっています。関係先と協力して、あらゆるツールを活用すれば、検挙率も上がり、より多くの犯罪者を法の裁きにかけることができるでしょう。

警察当局の活動におけるAxisネットワーク監視ソリューションの貢献については、こちらをご覧ください。

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